山に登ること、焚き火をして、森の中で眠ること。
便利で安全な現代に暮らしながら、なぜ私たちは自然に惹かれるのでしょうか?
本来は自然の一部であるはずの人間が、自然と乖離した現代社会で生きている中には、言葉にはできない矛盾が孕んでいるのかもしれません。
アーティストたちは、そこから生まれたイメージや感覚を見つめ直し、それぞれの方法で模索し表現することで、私たちが暮らす現実やその反動と真摯に向き合っています。
彼らの作品を通して、自然の中で私たちの暮らしを改めて見つめ直すことで、新しい未来がイマジネーションの力によって生まれていくのではないかと考えます。
本展覧会では、建築、絵画、映像、インスタレーション、版画、製本と、多様な表現で活躍する6人のアーティストの作品を紹介します。
美術大学卒業後、群馬県嬬恋村でログビルダーとして働く。その後、北軽井沢のキャンプ場「スウィートグラス」のスタッフとなり、2000年頃から場内に独学でツリーハウスを作り始める。自然と人との繋がりをオリジナルな世界観で表現することを目指し、2007年に独立。
北軽井沢在住。浅間高原を中心に各地でツリーハウス等を製作。
「きのこランタン」
自然木・ブリキ・電球
大阪出身、東京都在住。京都造形芸術大学で絵画を学び2005年卒業。
自然界の成立ちや関係性を見つめ「つながりあう世界」を主題に表現している。蝋絵具を重ね、溶かし、削って描いた作品は、環境に応じ形成されゆく鉱物から着想を得たものだ。マグマに溶かされ火山から噴出した溶岩や鉱物、川の水や風に削られた石に現れる模様は時の層であり痕跡である。自然界の営みを眺める事は世界の見方を変え、広げる事へと繋がってゆく。
「Earth 05c」 2013
パネル・紙・アクリル・エンコウスティック
60.6 x 45.5 cm
製本家・編集者。石川県生まれ、神奈川県在住。
関西学院大学文学部卒業後、書籍・雑誌の編集部を経て、独立。編集者としての仕事の傍ら、イギリスでブックバインディングを学び、伊藤 篤氏に師事。製本家としても活動する。伝統的な工芸製本と現代的な工業製本の狭間を見つめながら、これからの本の在り方を探求している。
著書に『週末でつくる紙文具』など。
「未来は自然の中にある」 2020
黄檗(北軽井沢産)、綿と麻の撚り糸 コプティック装
1973年山形県生まれ、東京都在住。
Wimbledon School of Art修士修了後、国内外にて個展・グループ展による発表多数。記憶と身体との関係性を見つめ続けながら、創造の瞬間を捉える実験的なドローイングや、鉛筆の描画を早回しした映像作品を制作する。また、平面や映像作品以外にも、朗読体験を通して人々の記憶をつなげるプロジェクト『Re-constellation』による公演に取り組むなど、様々な表現活動を展開している。
「球体の家 Floor Model 2019-01」 2019
ミクストメディア、実験記録
現代美術作家。
想像上の「楽園」をテーマに、絵画によるインスタレーションを制作している。楽園の景色や神話の動物などを描いた線描のドローイング、鏡、色面などの作品を空間に構成することにより、二次元と三次元を交差させ、現実と想像の境界が交わり、鑑賞者が絵の中に入り込むような空間を作り出す。忘れられた感覚を取り戻し、イマジネーションの力によって新しい未来を形作る。
「楽園/境界」 2014
鏡・顔料・木
東京都現代美術館 撮影:木奥恵三
土と植物から自作した絵具で、木の形に着目した木版画を作る。北国の山や手仕事を訪ね、厳しい自然と共に生きる人々の言葉と手仕事をテーマに制作に取り組んできた。
今回の作品は、北欧の先住民族サーミと青森の人々を取材し制作した。サーミの「自然と協調する」生き方は、彼らの手仕事に表れる。自然から素材を得て作ったものは、その自然の厳しさから身を守るものになる。自然を受け入れ作る思考は、私達の心身を守る術となる。
「夜営」2018
木版・土・藍・紙 29.8 × 23.7 cm
製本体験「HOUSE BOOK」をつくろう
ゾウのうんちやバナナ、木くず、藁、コーヒー豆まで、自然素材でできた紙を使った自分だけの本づくり。
日本に古くから伝わる「松葉綴じ(まつばとじ)」と呼ばれる蛇腹折りの製本技法を使って、おうち型のアルバム『HOUSE BOOK(おうち型の本)』をつくります。表情も触り心地もさまざまな自然素材の紙から、表紙に使うお好きな紙をお選びいただき、視覚と触覚を使って1冊の本ができるまでの工程を学びます。
ツルツル、デコボコ、ザラザラ。色や形だけじゃない、紙の面白さをお子様と一緒に体験してみましょう。
アートプロジェクト・パフォーマンスイベント『球体の家』研究所
アーティストの永岡大輔さんが近年取り組んでいる「球体の家」プロジェクト。もしすべての家が球体ならどんな世界が広がっているだろう。国境や土地、他者との関係性、現代の多くの問題は解決する?ドローイングアニメーションから始まったこの作品は、私たちの暮らしを全く新しい角度から根本的に捉え直す試みです。今回新しく制作された展示作品の『球体の家の床』を実際に使用し、参加者と一緒に体験します。予約不要・随時参加可能です。
森の宝探し・絵を描こう
ネイチャーガイドの話を聞いて、アーティストと一緒に絵を描こう。ルオムの森を探検して、色々な植物や昆虫を観察します。あなただけの宝物を見つけて、そのイメージを絵に描きましょう。アーティストの船井美佐さんと一緒に、キャンバスに刷毛やローラーを使って色を塗ったり、浅間山の木の炭や灰を使って描きます。完成した作品は一人一点持ち帰ります。
タイトル | 「The future is in nature」 ― 未来は自然の中にある ― |
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会期 | 2020年4月18日(土)~8月31日(月) ※定休日はトップページのカレンダーをご確認ください |
時間 | 10:00~17:00 |
会場 | ルオムの森・百年の洋館 |
所在地 | 群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1984-239 |
入場料 | 無料 |
お問い合わせ | ルオムの森:0279-84-1733 kmluo@kitamoc.com |
主催 | きたもっくルオムの森 |
【電車・バス】長野県側からは「軽井沢」、群馬県側からは「長野原草津口」が最寄り駅になります。バスが発着する「北軽井沢・観光協会前」から徒歩で20分ほどです。
くわしくは、ルオムの森にある「スウィートグラス・アドベンチャー」のアクセスページをご覧ください。
ワークショップの日程を変更いたしました。
企画展情報を公開しました。