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本読みの小旅行046

「イグルー」をつくる

ウーリ・ステルツァー 写真と文、千葉茂樹 訳(あすなろ書房)

「イグルー」をつくる

雪原に、男が一人写っていて円を描いている。
もうひとりの男が写り、雪のブロックを運んでいる。
一抱えもある大きなブロックが器用に積み上げられていき、ぽこっと丸いものが2つ並んだ。
イヌイット式「かまくら」だ。

北極圏にあるカナダ最奥部の島、エルズミア。
9月には海が凍り始め、氷は2mの厚さになる。一番寒い時は-50度を下回る場所。
誰も住んでいないかと思いきや、大昔からそこに住んでいる人々がいるという。

雪の上の風紋。
暖かそうなアザラシのブーツ。
足形のついた雪を見ると、温度も湿度も低い時特有の雪で、サラサラの雪が降り積もって自重で詰まった感じがする。
ナイフを入れた時にはキュスス、キュスス…という音がしそうだ。

気に入った場所に、好きな大きさの家を建てる。しかも、材料(雪)はいくらでもあり、ナイフ1本で自在に作れる(近頃はノコギリも使うそうだ)
2~3時間でできるイグルーには、風除室的な玄関も備え付けられていて、煙突もあって中は暖かい。
くりぬいて作られた出入り口からは凍る海が見える。

夏には消えてしまう、季節限定の家。
身の回りにある材料を利用して、自分たちの手で快適な環境を作る。
食べること、住むこと、纏うこと、伝えることが、生活の中で繋がっている。

はたらくことは、生きること。

今日の言の葉

いちばんたいせつなのは、いい雪を見つけることだ

イヌイット式かまくらのつくり方。
モノクロームの写真はつくり方だけでなく、それを取り巻く文化も垣間見える。

by ゆうき2019.01.24

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